新電力への切り替えで後悔しないために
電力自由化で多くの新電力会社が登場し、「電気代が安くなる」と切り替えを検討する方が増えています。確かに大手電力会社よりも料金が安くなるケースは多いですが、メリットだけに目を向けると思わぬ落とし穴にはまることもあります。
この記事では、新電力のデメリットや注意点を正直に解説します。リスクを理解したうえで切り替えを判断すれば、後悔する可能性はぐっと減ります。

デメリット1:電気代が安くならないケースがある
新電力に切り替えれば必ず安くなるわけではありません。特に月の電気使用量が少ない一人暮らしの方は、大手電力会社との料金差がわずかで、節約効果を実感しにくいケースがあります。
多くの新電力は、使用量が増えるほど割引率が大きくなる料金体系を採用しています。そのため、月の使用量が100kWh以下の方だと、むしろ大手の方が安くなることもあり得ます。
切り替え前には必ず各社の料金シミュレーションで自分の使用量を入力し、実際にいくら安くなるのか具体的な金額を確認してから判断しましょう。
デメリット2:市場連動型プランの料金変動リスク
Looopでんきなどが採用している市場連動型プランは、JEPX(日本卸電力取引所)の取引価格に連動して電気料金が変動する仕組みです。
電力需要が落ち着いている深夜や春・秋は安くなりますが、猛暑の夏場や厳冬期には電力需要が急増し、市場価格が大幅に上昇することがあります。過去には通常の数倍の料金になったケースも報告されています。
- 夏場のピーク時間帯に料金が通常の数倍に跳ね上がることがある
- 電力需給が逼迫する時期は連日高値が続くことも
- 毎月の電気代が予測しにくく、家計管理が難しくなる
安定した料金を求める方は、固定料金型のプランを選んだ方が安心です。市場連動型プランの詳細はLooopでんきの料金プラン解説記事でも解説しています。
デメリット3:倒産・事業撤退のリスク
新電力会社は大手電力会社に比べて経営規模が小さい場合が多く、原油価格の高騰や電力市場の変動に耐えきれず事業撤退するケースがあります。
実際に、2021年〜2022年にかけて電力市場の高騰を背景に、多くの新電力が事業撤退や倒産に追い込まれました。2024年9月時点で、小売電気事業者734社のうち123社が休止・廃止・解散・取消となっています。
ただし、新電力が倒産しても電気がいきなり止まることはありません。国のセーフティネット制度により、地域の大手電力会社が「最終保障供給」として電気を届けてくれます。とはいえ最終保障供給の料金は割高なので、撤退通知を受けたら早めに次の電力会社を探すことが大切です。
倒産リスクについて詳しくは新電力の倒産リスクと対処法の記事をご覧ください。

デメリット4:解約金が発生する場合がある
多くの新電力は解約金0円で契約期間の縛りもありませんが、一部のプランでは解約時に費用が発生する場合があります。
- 東京電力EP(プレミアムプラン):1年契約の途中解約で3,000円、2年契約で5,000円
- ENEOSでんき(にねん とく²割):契約期間内の解約で1,100円
- auでんき:12カ月以内の解約でキャンペーン違約金2,200円が発生する場合あり
解約金について詳しくは新電力の解約金比較記事で各社の条件をまとめています。
初めて新電力に切り替える方は、まず解約金0円の会社を選んでおくのがおすすめです。楽天でんき・ドコモでんき・東京ガスの電気・Looopでんき・オクトパスエナジーなどは、いつ解約しても費用がかかりません。
デメリット5:料金プランの比較が難しい
新電力の料金プランは会社ごとに構造が異なるため、単純な比較が難しいのもデメリットの一つです。
基本料金・従量料金・燃料費調整額・ポイント還元など、複数の要素を総合的に比較する必要があります。さらに市場連動型と固定料金型という根本的に異なるタイプのプランがあるため、単純に「月額いくら」と比較できないケースもあります。
比較を簡単にしたい場合は、エネチェンジなどの電力比較サイトを活用しましょう。郵便番号と使用量を入力するだけで、複数社の料金を自動計算して比較してくれます。
デメリット6:強引な勧誘に遭う可能性
新電力の中には、訪問や電話で強引な勧誘を行う会社も存在します。国民生活センターには「検針票を見せるよう言われて従ったら、知らない間に契約が変更されていた」「今より安くなると言われたのに高額請求された」という相談が寄せられています。
- 訪問・電話での勧誘には安易に応じない
- 検針票を見せるだけで契約が成立してしまう場合があるので注意
- 「今すぐ決めないと特典がなくなる」と急かす会社は避ける
- 切り替えは自分でWeb申込みするのが最も安全
電力会社の切り替えは自分のペースで判断することが大切です。信頼できる会社を自分で選び、公式サイトから申し込むのが最も安全な方法です。
デメリット7:マンションの一括受電は切り替え不可
マンションやアパートで「一括受電」を導入している場合は、個別に電力会社を切り替えることができません。一括受電とは、マンション全体で一つの電力契約をしている形態のことです。
自分のマンションが一括受電かどうかは、管理会社や管理組合に確認してみてください。通常の個別契約であれば、賃貸物件でも自由に電力会社を切り替えることが可能です。

新電力のデメリットに関する追加の質問
Q. 新電力に切り替えると停電しやすくなる?
いいえ、停電リスクは変わりません。送電線は地域の送配電事業者が管理しており、新電力は「電気を販売する会社」です。送配電のインフラは全社共通です。
Q. 災害時に新電力は不利になる?
不利にはなりません。停電復旧は送配電事業者が行うため、どの電力会社でも復旧の優先順位に差はつきません。新電力だから復旧が遅れるということはないので安心してください。
Q. 新電力の料金は将来上がる可能性がある?
燃料費や電力市場の動向によって料金改定の可能性はありますが、これは大手電力も同じです。改定時は事前通知されるため、その時点で他社への切り替えを検討できます。
Q. 新電力と大手電力、結局どちらがいい?
一概には言えませんが、月200kWh以上使用する世帯なら新電力の方が安くなるケースが多いです。大手電力の料金には地域独占時代の設備維持コストが含まれているため、新電力はそのぶん安い料金設定が可能です。ただしオール電化プランは大手の方が充実しています。安定志向の方は東京ガスやCDエナジーダイレクトなど大手グループの新電力を選べば、料金の安さと経営基盤の安定感を両立できます。
Q. 新電力に切り替える際、工事は必要?
原則として工事は不要です。すでにスマートメーターが設置されている場合は遠隔操作で切り替えが完了します。スマートメーターが未設置の場合は無料で交換されますが、短時間の作業で立ち会いも不要です。切り替え手続きはWebから5〜10分で完了し、現在の電力会社への解約連絡も不要です。
新電力のメリットも確認しよう
デメリットだけでなくメリットも把握しておきましょう。
- 大手より電気代が安くなるケースが多い
- 電気とガスのセット割で光熱費全体を削減できる
- ポイント還元で実質料金がさらに下がる
- 切り替え手続きがWebで5分と手軽
- 解約金無料の会社が多く気軽に試せる
電気代を節約するための基本テクニック
電力会社の見直しに加えて、日常の電気の使い方を工夫することでさらに節約効果が高まります。
契約アンペアを見直す
契約アンペアを1段階下げるだけで、月約295円の基本料金を節約できます。一人暮らしなら20〜30A、二人暮らしなら30〜40Aが目安です。ブレーカーが頻繁に落ちない範囲で見直してみましょう。
エアコンの使い方を工夫する
エアコンは家庭の電気消費量の中で大きな割合を占めます。環境省の推奨する室温目安は冷房時28度、暖房時20度です。フィルターを月1回清掃するだけで冷暖房効率が5〜10%向上します。
待機電力を減らす
使っていない家電のコンセントを抜くだけで年間約1,000円の節約効果があります。スイッチ付き電源タップを使えばまとめてオフにできて手軽です。資源エネルギー庁のデータによると、家庭の消費電力のうち約5%が待機電力とされています。

デメリットへの対策まとめ
新電力のデメリットは、事前に知っておけば対策できるものがほとんどです。
- 安くならないリスク→ 料金シミュレーションで事前確認
- 市場連動型の変動リスク→ 安定志向なら固定料金型を選ぶ
- 倒産リスク→ 大手グループの会社を選ぶ
- 解約金→ 解約金0円の会社を選ぶ
- 比較の難しさ→ 比較サイトを活用する
- 強引な勧誘→ 自分でWeb申込みする
デメリットを把握したうえで自分に合った会社を選べば、新電力への切り替えは十分にメリットのある選択です。電力会社の選び方については電力会社の選び方ガイドもあわせてご覧ください。

