電力自由化が始まって以降、多くの人が電力会社の切り替えを経験している。しかし切り替えに伴うトラブルも少なからず報告されており、事前にトラブル事例を知っておくことで防げるケースがほとんどだ。
この記事では、電力会社の切り替えで実際に起きやすいトラブルの事例と、それぞれの対処法をわかりやすく解説する。これから切り替えを考えている方は、失敗しないための参考にしてほしい。

電力会社の切り替えで起きやすいトラブル7選
トラブル1:訪問販売で意図しない契約をしてしまった
国民生活センターにも多く寄せられているのが、訪問販売や電話勧誘で意図せず電力会社を切り替えてしまったというトラブル。典型的なパターンは以下のとおり。
- 「電気料金の見直しのご案内です」と訪問され、検針票を見せたら勝手に切り替え手続きをされた
- 現在の電力会社のプラン変更だと思ったら、別の会社に切り替わっていた
- 「安くなります」と言われたが、実際には高くなった
訪問販売の対策ポイント
- 検針票は安易に見せない・渡さない
- 契約内容を書面で確認する
- その場で即決せず、一度持ち帰って比較する
- 意図しない契約はクーリングオフ(8日以内)で解約できる
トラブル2:想定していたより電気代が高くなった
「安くなると聞いて切り替えたのに、前より高くなった」というトラブルも発生している。原因は主に3つ。
- 使用量が少なすぎる:新電力は使用量が多い世帯ほど安くなるプランが多い。一人暮らしで使用量が月150kWh以下の場合、大手電力会社のほうが安いケースもある
- 燃料費調整額の上限なし:一部の新電力は燃料費調整額に上限を設けておらず、燃料価格高騰時に大手電力会社より高くなることがある
- 解約金の存在を知らなかった:契約期間の縛りがあるプランで、途中解約すると違約金が発生する
いずれも「自分が月にどれだけ電気を使っているか」を把握していれば防ぎやすいトラブルだ。検針票の数字だけでなく、家電ごとの消費電力を実測して確かめる人もいる。

トラブル3:切り替え手続きが完了しない・遅延する
申し込み後、なかなか切り替えが完了しないというケースもある。考えられる原因は以下のとおり。
- 供給地点特定番号やお客さま番号の入力ミス
- スマートメーターの交換工事の日程が取れない
- 検針日の関係で、次の切り替えタイミングまで待ちが発生
通常、切り替えまでの期間は2週間〜1か月程度。それ以上かかっている場合は、申し込み先の電力会社のカスタマーセンターに問い合わせてみよう。
トラブル4:二重請求が届いた(ように見える)
切り替え直後に旧電力会社と新電力会社の両方から請求書が届き、「二重請求では?」と不安になるケースがある。
しかし実際には二重請求ではなく、旧会社は切り替え日までの使用分、新会社は切り替え日以降の使用分をそれぞれ請求しているだけ。請求のタイミングがずれて同じ月に届くことがあるが、期間が重複しているわけではないので安心してほしい。
トラブル5:契約した電力会社が倒産・撤退した
新電力の倒産や事業撤退は実際に起きている。ただし電力会社が倒産しても電気が即座に止まることはない。電力供給の最終保障は、各地域の大手電力会社(東京電力、関西電力など)が担う仕組みになっている。
倒産・撤退が発表された場合の対処法は以下のとおり。
- すみやかに新しい電力会社を探して切り替え手続きを行う
- 何もしない場合は、地域の大手電力会社の「最終保障供給」が適用されるが、料金が割高になることが多い
- 未払い料金がある場合は請求が来るので注意
トラブル6:市場連動型プランで電気代が急騰した
市場連動型プランとは、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格に連動して電気料金が変動するプラン。通常時は安くなることもあるが、市場価格が高騰すると電気代が数倍に跳ね上がるリスクがある。
過去には寒波による電力需要の急増でJEPXの価格が通常の10倍以上に高騰し、市場連動型プランを契約していた世帯の電気代が跳ね上がった事例がある。市場連動型プランを選ぶ場合は、こうしたリスクを理解したうえで契約しよう。

トラブル7:解約金・違約金が発生した
電力会社によっては契約期間(1年・2年など)が設定されており、期間内に解約すると違約金が発生するプランがある。金額は数千円〜1万円程度が一般的。
切り替え前に以下のポイントを確認しておこう。
- 現在の契約に最低契約期間が設定されているか
- 違約金の金額はいくらか
- 新しい電力会社のプランにも契約期間の縛りがあるか
電力会社の切り替えトラブルを防ぐための5つのチェックポイント
- 1. 料金シミュレーションで試算する:自分の使用量で本当に安くなるか事前に確認
- 2. 燃料費調整額の仕組みを確認する:上限ありかなしかで高騰リスクが変わる
- 3. 契約期間と違約金を確認する:縛りのないプランを選べばリスクが減る
- 4. 訪問販売で即決しない:必ず複数社を比較してから判断する
- 5. 口コミや評判を調べる:実際の利用者の声は参考になる
トラブルが起きたときの相談窓口
電力会社の切り替えでトラブルが発生した場合は、以下の窓口に相談できる。
- 消費者ホットライン(188):最寄りの消費生活センターに繋がる。電話番号は「いやや(188)」で覚えやすい
- 電力・ガス取引監視等委員会:電力会社とのトラブルについて相談できる経済産業省の組織
- 各電力会社のカスタマーセンター:まずは契約先に直接問い合わせるのが基本
特にクーリングオフの期限(契約書面を受け取ってから8日以内)がある場合は、早めに消費生活センターに相談しよう。
こうした場面でものを言うのが、契約書面や検針票がすぐ出てくる状態にしてあるかどうか。光熱費まわりの書類だけを1か所にまとめている家庭も多い。
参考:CDエナジーダイレクト|電力会社の乗り換え・変更は本当にお得?

よくある質問(Q&A)
Q. 電力会社の切り替えで停電することはある?
通常の切り替え手続きで停電することはない。電気の送配電は地域の送配電会社が継続して担当するため、切り替え中も安定して電気が供給される。
Q. 切り替えトラブルを避けるにはどうすればいい?
まず料金シミュレーションで自分の使用量に合ったプランか確認し、燃料費調整額の上限の有無や違約金の条件を契約前にチェックすること。訪問販売や電話勧誘での即決は避け、自分で比較検討してから申し込むのがおすすめだ。
Q. クーリングオフは電力会社の切り替えにも適用される?
訪問販売や電話勧誘で契約した場合は、契約書面を受け取ってから8日以内であればクーリングオフが可能。ただし自分からWebサイトにアクセスして申し込んだ場合(通信販売)はクーリングオフの対象外になるので注意しよう。
Q. 新電力は大手電力会社より停電しやすい?
新電力に切り替えても停電のリスクは変わらない。送配電ネットワークは地域の送配電会社が管理・運用しており、どの電力会社と契約しても同じ電線を通じて電気が届く仕組みになっている。
まとめ
電力会社の切り替えでよくあるトラブルは、訪問販売による意図しない契約、想定外の料金上昇、市場連動型プランでの急騰、解約金の発生などが代表的なものだ。どのトラブルも事前の確認と比較検討で防ぐことができる。
切り替え前には料金シミュレーションで試算し、燃料費調整額の仕組みや違約金の条件を確認しておこう。トラブルが発生した場合は、消費者ホットライン(188)や電力・ガス取引監視等委員会に相談できることも覚えておいてほしい。


