電力自由化により登場した「新電力」は、大手電力会社よりも安い料金やユニークなサービスで注目を集めています。しかし一方で、「新電力はやばい」「後悔した」という声を目にして不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
新電力にはたしかにいくつかのデメリットやリスクが存在します。しかし、それらを正しく理解しておけば回避できるものがほとんどです。デメリットを知ったうえで判断することで、安心して電力会社を選べるようになります。
この記事では、新電力のデメリットやリスクを具体的に解説し、それぞれの対処法もあわせて紹介します。切り替えを検討中の方は、判断材料としてお役立てください。

そもそも新電力とは?
新電力(新規参入電力小売事業者)とは、電力自由化が始まって以降の電力小売全面自由化により家庭向け電力販売に参入した電力会社のことです。東京電力や関西電力などの旧一般電気事業者(大手電力会社10社)以外の電力会社を総称して「新電力」と呼びます。
新電力には、ガス会社、通信会社、石油会社、IT企業などさまざまな業種から参入しており、それぞれの強みを活かした料金プランやサービスを展開しています。記事執筆時点で700社以上が小売電気事業者として登録されています。
デメリット1:倒産・事業撤退のリスクがある
新電力の最も大きなデメリットとして語られるのが、倒産や事業撤退のリスクです。エネチェンジの情報によると、電力自由化以降に休止・廃止・解散・取消などに至った事業者は100社を超えています。
新電力が経営難に陥る主な原因は、卸電力市場での電力調達コストの高騰です。多くの新電力は自社発電所を持たず、日本卸電力取引所(JEPX)などから電力を仕入れて販売するビジネスモデルを採用しています。燃料費高騰や電力需給の逼迫で卸価格が上がると、販売価格との差額で赤字になり、経営が行き詰まるケースがあります。
電気は止まるのか?
契約先の新電力が撤退・倒産しても、電気がすぐに止まることはありません。国のセーフティネット制度により、地域の大手電力会社(送配電事業者)が「最終保障供給」として電気を供給し続けてくれます。
ただし、最終保障供給の料金は通常プランより割高に設定されているため、速やかに新しい電力会社を見つけて切り替える必要があります。
対処法
- 親会社が大手企業のグループ新電力を選ぶ
- 自社発電所を保有している新電力を選ぶ
- サービス提供年数が長い会社を選ぶ

デメリット2:市場連動型プランの価格高騰リスク
新電力の中には、JEPXの市場価格に連動して料金単価が変動する「市場連動型プラン」を提供しているところがあります。
市場連動型は、電力需要が少ない時間帯には安くなる可能性がありますが、需要が集中する真夏・真冬に価格が高騰するリスクがあります。過去には大寒波の影響で電力需要が急増し、通常の数倍の単価になった事例も報告されています。
固定単価型のプランを選べば、この問題は発生しません。市場連動型を選ぶ場合は、電気の使用時間帯をコントロールできる知識と覚悟が必要です。
市場連動型プランは電気の使い方を工夫できる方には向いていますが、毎月の電気代を安定させたい方には不向きです。リスク許容度に合わせて選びましょう。
デメリット3:燃料費調整額に上限がない場合がある
大手電力会社の規制料金プラン(従量電灯など)には、燃料費調整額に上限が設けられています。しかし、新電力の多くはこの上限がなく、燃料費が高騰すると調整額が青天井で上がる可能性があります。
通常時は新電力のほうが安くても、燃料費高騰局面では大手電力会社の規制料金プランのほうが安くなるケースも起こり得ます。
対処法
契約前に燃料費調整額の算定方法を確認し、上限の有無を把握しておきましょう。また、燃料費調整額を含めた実質的な請求額でシミュレーションすることが重要です。
デメリット4:プラン選びを間違えると割高になる
新電力のプランは多種多様で、自分の使用量やライフスタイルに合わないプランを選ぶと、かえって電気代が高くなることがあります。
たとえば、基本料金0円で従量単価が高めのプランは、使用量が極端に少ない月はお得ですが、使用量が多い月には割高になることがあります。逆に、大容量向けの定額プランを使用量の少ない世帯が契約すると、定額分を使い切れずに損をしてしまいます。
対処法
切り替え前に必ず料金シミュレーションを行いましょう。直近12ヶ月分の使用量データを使って年間コストを比較すれば、プラン選びの失敗を防げます。

デメリット5:サポート体制が限られる場合がある
大手電力会社は電話・チャット・窓口など多くのサポート手段を用意していますが、新電力の中には問い合わせ手段がメールやチャットのみで、電話窓口がないところもあります。
トラブル時に即座に電話で相談したい方にとっては、サポート体制の違いがデメリットになることがあります。
対処法
契約前に公式サイトでサポート窓口の種類や対応時間を確認しましょう。FAQの充実度や、問い合わせフォームの有無なども判断材料になります。
デメリット6:支払い方法が限定される
大手電力会社ではクレジットカード・口座振替・コンビニ払い・振込用紙など多様な支払い方法に対応していますが、新電力の中にはクレジットカードのみ対応という会社もあります。
カードを持っていない方や、口座振替で固定費を管理したい方にとっては不便に感じるかもしれません。ただし、口座振替に対応した新電力も増えているため、選択肢がないわけではありません。
デメリット7:解約金が発生するケースがある
新電力の一部プランには、最低契約期間が設けられています。1年や2年の縛り期間中に解約すると、数千円から1万円程度の違約金が発生することがあります。
引っ越しやプラン変更の際に思わぬ出費となる可能性があるため、契約前に解約条件を必ず確認しておきましょう。なお、解約金が一切かからない新電力も多数存在します。
解約金なし・最低契約期間なしの新電力を選べば、いつでも自由に切り替えが可能です。お試しで使ってみたい方は、このタイプを選ぶと安心です。
新電力のメリットも把握しておこう
デメリットばかりに目が行きがちですが、新電力には大きなメリットもあります。バランスよく判断するために、メリットも確認しておきましょう。
- 電気代が安くなる可能性が高い:使用量に合ったプランを選べば、大手より安くなるケースが多い
- ポイント還元やセット割が充実:ガス・通信・ネットショッピングとの連携でお得に
- 再生可能エネルギーを選べる:環境に配慮した電力を使いたい方に対応
- 切り替え手続きが簡単:オンラインで5分程度で申し込み完了
- 電気の品質は変わらない:送電線は大手電力会社のものを使用するため品質は同じ

安心して選べる新電力の条件
デメリットを踏まえたうえで、安心して利用できる新電力を選ぶためのチェックポイントをまとめます。
- 親会社やグループ企業が安定している(大手ガス会社・通信会社系列など)
- サービス提供実績が長い(参入から数年以上経過している)
- 固定単価型のプランがある(市場連動リスクを避けたい場合)
- 解約金・最低契約期間がない
- 電話サポートなど問い合わせ手段が充実している
- 料金の算定方法が明確で透明性がある
これらの条件を満たす新電力であれば、前述のデメリットの多くを回避できます。
Q&A よくある質問
Q. 新電力に切り替えて後悔する人はどんな人?
主に「プラン選びを間違えた」「市場連動型で高騰した」「サポートが不十分だった」というケースが見られます。事前のシミュレーションと契約条件の確認で、これらの後悔は回避できます。
Q. 新電力が撤退したら、どれくらいで新しい会社に切り替えればいい?
通常、撤退の通知から1〜2ヶ月程度の猶予期間が設けられます。その間に新しい電力会社を選んで切り替え手続きをすれば問題ありません。猶予期間を過ぎると最終保障供給に移行しますが、電気は止まりません。
Q. 大手電力会社のままでいたほうが安心?
安定性を最優先するなら大手電力会社のままでいるのも一つの選択です。ただし、大手電力会社系列の新電力(CDエナジーダイレクトなど)なら、安定性と料金の安さを両立できる可能性があります。
まとめ
新電力には「倒産・撤退リスク」「市場連動型の価格変動」「燃料費調整額の上限なし」「サポート体制の差」といったデメリットがあります。しかし、これらはいずれも事前に知っておけば対処可能なものです。
安定した経営基盤を持つ新電力で、固定単価型・解約金なしのプランを選べば、デメリットの多くを回避しながら電気代を節約できます。まずは料金シミュレーションで節約効果を確認し、納得のうえで判断するのがおすすめです。


