2016年の電力自由化以降、電力小売市場には700社以上の事業者が参入した。しかし、実際に大きなシェアを持つ企業は限られている。どの電力会社が販売量で上位なのか、新電力のシェアはどのくらいなのか、気になる方も多いだろう。
この記事では、電力小売の販売量やシェアのデータをもとに、主要な電力会社の特徴をわかりやすく紹介する。電力会社選びの参考にしてほしい。

電力小売市場の現状|新電力のシェアは約2割
資源エネルギー庁のデータによると、販売電力量に占める新電力のシェアは低圧分野(家庭向け)で約26.1%に達している(記事執筆時点の公表データ)。電力自由化から10年で、新電力の存在感は着実に増してきた。
ただし、全体で見ると大手電力会社(旧一般電気事業者)が依然として市場の過半を占めている構造に変わりはない。新電力のシェアは高圧で約25.3%、特別高圧で約11.2%と、分野によってもばらつきがある。
大手電力10社とは
日本の電力市場には、エリアごとに以下の大手電力会社(旧一般電気事業者)が存在する。
- 北海道電力
- 東北電力
- 東京電力エナジーパートナー
- 中部電力ミライズ
- 北陸電力
- 関西電力
- 中国電力
- 四国電力
- 九州電力
- 沖縄電力
この10社が電力小売市場の約7〜8割のシェアを占めている。

電力小売の販売量で見る主要企業
電力小売の販売量で見ると、東京電力エナジーパートナーがトップを走っている。関東エリアの巨大な需要を背景に、他の大手電力を大きく引き離している状態だ。
大手電力の販売量上位
販売量の多い順に見ると、東京電力エナジーパートナー、関西電力、中部電力ミライズ、九州電力、東北電力が上位を占めている。これは各社の供給エリアの人口規模にほぼ比例している。
新電力で販売量が多い企業
新電力の中で販売量が大きい企業は、以下のような顔ぶれだ。
- 東京ガス:ガス会社から電力小売に参入。関東エリアでのセット契約が強み
- ENEOS Power:エネルギー大手のENEOSグループ。法人・家庭向けの両方で展開
- 大阪ガス:関西エリアで電気とガスのセット契約を提供
- CDエナジーダイレクト:中部電力と大阪ガスの合弁。関東エリアで急成長
- ミツウロコグリーンエネルギー:エネルギー商社系で法人向けに強い
- ソフトバンクでんき:通信大手のソフトバンクが参入。携帯とのセット割が特徴
新電力の上位は、ガス会社・石油会社・通信会社など、既存の顧客基盤を持つ企業が中心だ。
どの会社を候補にするにしても、まずは自宅がどの家電にどれだけ電気を使っているかを把握しておくと、プランの比較がしやすくなる。コンセントに挟むだけで消費電力を測れるワットチェッカーを使う方も多い。
電力小売企業の特徴を比較
電力小売の主要企業を、特徴別に整理してみよう。
料金重視型:単価の安さで勝負する企業
基本料金ゼロや低い従量料金単価で勝負している電力会社もある。Looopでんきは基本料金ゼロの市場連動型プランを提供し、電気を安い時間帯に使う工夫ができるユーザーに支持されている。オクトパスエナジーはシンプルな料金体系とキャンペーンの充実で注目を集めている。
セット割型:既存サービスとのまとめ割で勝負する企業
ガスや携帯電話とのセット割引で総額のお得さを訴求するタイプだ。東京ガス、大阪ガス、CDエナジーダイレクトなどのガス系はガスとのセット割、auでんきやソフトバンクでんきは携帯料金とのセット割を提供している。
ポイント還元型:ポイント経済圏で勝負する企業
楽天でんきは楽天ポイント、auでんきはPontaポイントなど、ポイント還元で実質的な電気代を下げるアプローチだ。日常的にそのポイント経済圏を使っている人にとっては魅力的な選択肢になる。
環境重視型:再エネ・CO2フリーで勝負する企業
環境意識の高い消費者向けに、再生可能エネルギー100%のプランや実質CO2排出ゼロのプランを提供する企業も増えている。シン・エナジーやみんな電力などが代表的だ。

新電力を選ぶメリット・デメリット
メリット
- 大手電力より料金が安くなるケースが多い
- ポイント還元やキャッシュバックなどの特典が充実
- 料金プランの選択肢が豊富
- 切り替え手続きは5分程度で完了し、工事も不要
デメリット
- 市場連動型プランは電気代が高騰するリスクがある
- サポート体制が大手に比べて手薄な会社もある
- 経営基盤が弱い企業は撤退・倒産のリスクがゼロではない
ただし、新電力が倒産しても電気が止まることはない。送配電事業者が引き続き供給を続けるので、その間に別の電力会社と契約すれば問題ない。
新電力の中には、過去に経営難から事業撤退した企業もある。契約前に企業の経営状況やサービス継続年数を確認しておくと安心だ。
電力小売市場の今後の動向
電力小売市場は今後もいくつかの変化が予想される。
再エネ電力への需要拡大
脱炭素社会に向けた動きが加速する中、再生可能エネルギー由来の電力への需要は今後も拡大すると見られている。環境意識の高い消費者だけでなく、企業のESG対応としても再エネ電力の導入が進んでいる。
AIやスマートホームとの連携
スマートメーターの普及により、電力使用量のデータ活用が進んでいる。AIを活用した最適な料金プランの提案や、スマートホーム連携による電力の最適化など、テクノロジーとの融合が加速しそうだ。
この流れは家庭側でも先取りできる。スマートプラグを使えば、家電ごとの使用電力をアプリで確認したり、使わない時間帯に自動でオフにしたりという使い方をする方もいる。
競争の激化と淘汰
700社以上が参入した電力小売市場だが、経営が厳しくなった企業の撤退も相次いでいる。今後は安定した経営基盤を持つ企業を中心に市場が整理されていく可能性がある。
電力小売に関するよくある質問
Q. 販売量が多い電力会社を選ぶべき?
販売量の多さは信頼性の一つの指標にはなるが、料金が安いかどうかは別の話だ。自分の使用量に合ったプランを比較して選ぶのが重要。
Q. 新電力のシェアが増えているのはなぜ?
大手電力より料金が安いプランが多いことに加え、セット割やポイント還元などの付加価値が消費者に支持されているためだ。比較サイトの普及で切り替えのハードルも下がっている。
Q. 電力小売事業者の一覧はどこで見られる?
資源エネルギー庁の「登録小売電気事業者一覧」や、比較サイトの新電力ネットなどで確認できる。

まとめ|電力小売市場のデータを参考に、自分に合った会社を選ぼう
電力小売市場は、大手電力が依然として主力でありつつも、新電力のシェアが着実に拡大している成長市場だ。家庭向けでは4軒に1軒以上が新電力を利用しており、選択肢は豊富にある。
電力会社を選ぶ際は、販売量やシェアだけでなく、料金プラン・セット割・ポイント還元・サポート体制など複数の要素を総合的に比較することが大切だ。まずは各社の公式サイトで料金シミュレーションを試して、自分の使い方に合った電力会社を見つけてほしい。
電力小売事業者を選ぶ際の比較ポイント
比較ポイント1:経営基盤の安定性
新電力の中には、経営が厳しくなって事業撤退した企業もある。大手企業のグループ会社や、ガス会社・通信会社系など既存の顧客基盤を持つ企業は比較的安定している傾向にある。過去の事業撤退事例を参考にしつつ、信頼性の高い企業を選ぶとよい。
比較ポイント2:料金プランの透明性
料金体系がわかりやすいかどうかも重要なポイントだ。公式サイトで単価や計算方法が明確に公開されている会社は信頼性が高い。料金の詳細が不透明な会社は避けた方が無難だ。
比較ポイント3:サポート体制
困ったときに相談できるカスタマーサポートの有無、対応時間帯、対応品質も大切だ。電話サポートやチャットサポートが充実している会社を選ぶと安心感がある。
比較ポイント4:契約の柔軟性
解約金や最低契約期間の有無を確認しよう。解約金がない会社なら、合わなかった場合も気軽に乗り換えることができる。

新電力の選び方|タイプ別おすすめの選択基準
安さ重視の方
料金シミュレーションで現在の電力会社より安くなる会社を選ぶのが基本。基本料金ゼロのプランや、従量料金の単価が低いプランが候補になる。ただし市場連動型プランはリスクがあるので、固定単価型を選ぶのが初心者には安全だ。
ポイント重視の方
楽天でんき(楽天ポイント)、auでんき(Pontaポイント)など、自分が普段使うポイント経済圏の電力会社を選ぶと、電気代の支払いで効率的にポイントが貯まる。
安心重視の方
東京ガスや大阪ガスなど、大手インフラ企業系の電力がおすすめ。対面の店舗窓口があるケースもあり、サポート面で安心感がある。
環境重視の方
再エネ100%プランや実質CO2排出ゼロプランを提供している企業を選ぶとよい。環境に配慮した電力を使いたいという意識の高い消費者に支持されている。
電力小売の販売量データの読み方
電力小売の販売量データは、電力・ガス取引監視等委員会が毎月公表している。このデータを見る際のポイントを押さえておこう。
「低圧」と「高圧」の違い
「低圧」は一般家庭や小規模店舗向けの電力で、「高圧」は工場やビルなど大口需要家向けの電力だ。家庭の電力会社選びに参考になるのは「低圧」の販売量やシェアのデータになる。
販売量とシェアの見方
販売量は「kWh(キロワットアワー)」で表される。シェアは全体の販売量に占めるその会社の割合だ。販売量が多い会社は契約者数が多いことを意味するが、それが必ずしも料金の安さや満足度の高さと一致するわけではない点に注意しよう。



