プロパンガスの料金が高いと感じて、都市ガスへの変更を検討している人は多い。実際にプロパンガスから都市ガスに切り替えると、月々のガス代が3割から5割程度安くなるケースがある。しかし、切り替えには工事費用やガス機器の交換費用がかかるため、「元が取れるのか」を冷静に判断する必要がある。
この記事では、プロパンガスから都市ガスへの変更にかかる費用の内訳、工事の流れ、切り替えができる条件、そして注意すべきポイントまで詳しく解説する。都市ガスへの変更を考えている方は、ぜひ費用感を把握してから判断してほしい。

プロパンガスから都市ガスへの変更にかかる費用の内訳
都市ガスへの切り替えにかかる費用は、大きく分けて3つの項目がある。住宅の条件や距離によって幅があるが、総額の目安は約11万円から50万円程度だ。
1. ガス導管の引き込み工事費:約7万円から15万円
前面道路に埋まっている都市ガスの本管から、自宅の敷地内までガス管を引き込む工事にかかる費用。東京ガスのデータによると、標準的な一戸建て住宅の配管工事費用の概算額は約142,600円とされている。ガス管を1メートル延長するごとに約10,000円かかるため、道路から自宅までの距離が長いほど工事費用が高くなる。マンションや集合住宅では、建物全体での切り替えが必要になるため、個人での対応が難しいケースがほとんどだ。
2. ガス機器の交換・部品交換費:約4万円から20万円
プロパンガス用の機器は都市ガスではそのまま使えないため、交換または部品交換が必要になる。対応方法は2つある。
部品交換で対応する場合:ガスコンロのノズルや給湯器のバーナー部品を交換する方法で、ガスコンロは約10,000円、給湯器は約30,000円程度の費用がかかる。合計で約40,000円前後が目安。ただし、古い機器は部品交換に対応していない場合もある。
機器を丸ごと買い替える場合:ガスコンロ(ビルトインタイプ)は約50,000円から100,000円、給湯器は約150,000円から250,000円が相場。合計で約200,000円前後の費用がかかる。10年以上使っている機器であれば、切り替えを機に買い替えてしまうのがおすすめだ。
据え置きタイプのガスコンロなら、都市ガス用の製品を自分で用意するという選択肢もある。購入時は必ず「都市ガス用(12A・13A)」の表記を確認すること。プロパン用とは部品が異なり、そのままでは使えない。
3. プロパンガス会社への解約費用:0円から15万円
プロパンガス会社との契約内容によっては、解約時に違約金や設備撤去費が発生する場合がある。特に注意したいのが「無償貸与契約」だ。これは給湯器やガスコンロをプロパンガス会社が無償で貸し出す代わりに、一定期間(10年から15年程度)の契約を条件とするもの。契約期間内に解約すると、設備の残存価格を一括で請求されるケースがある。解約前に必ず契約書を確認しよう。
無償貸与契約の残存期間が長い場合、解約金だけで10万円を超えることもある。契約書が見つからない場合は、プロパンガス会社に直接確認しよう。解約金が高額な場合は、契約満了まで待ってから切り替えるのも選択肢のひとつだ。
都市ガスへの変更ができる条件
プロパンガスから都市ガスに切り替えるためには、いくつかの条件を満たす必要がある。すべての住宅で切り替えができるわけではない点に注意しよう。
前面道路に都市ガスの本管が通っていること
都市ガスは地下に埋設されたガス管(本管)を通じて供給されるため、自宅の前面道路や近くの道路にガスの本管が通っている必要がある。本管が通っていない場合は、そもそも都市ガスの引き込みができない。本管の有無は、地域の都市ガス会社(東京ガス、大阪ガス、東邦ガスなど)に問い合わせれば確認できる。
戸建て住宅であること
マンションやアパートなどの集合住宅では、建物全体でプロパンガスから都市ガスへの切り替えが必要になるため、入居者個人の判断では変更できない。建物のオーナーや管理組合に相談が必要だ。
敷地内に配管スペースがあること
ガス管を敷地内に通すためのスペースが必要。敷地が狭い場合や、地中の配管が複雑な場合は工事の難易度が上がり、費用も高くなる。

変更工事の流れ
プロパンガスから都市ガスへの変更は、申し込みから供給開始まで約1か月から2か月程度かかるのが一般的だ。主な流れは以下の通り。
ステップ1:都市ガス会社に問い合わせ・現地調査
まず地域の都市ガス会社に連絡し、自宅への引き込みが可能かどうかの現地調査を依頼する。調査は無料で行ってくれることがほとんどだ。前面道路のガス本管の位置、自宅までの距離、敷地内の配管ルートなどを確認し、工事費用の見積もりが出る。
ステップ2:見積もり確認と契約
工事費用の見積もりに納得したら、都市ガス会社と供給契約を結ぶ。同時にプロパンガス会社への解約手続きも進める。
ステップ3:引き込み工事の実施
前面道路のガス本管から自宅までガス管を引き込む工事を行う。道路の掘削を伴うため、近隣への配慮や交通規制が必要になる場合がある。工事は通常1日から3日程度で完了する。
ステップ4:ガス機器の交換・調整
既存のプロパンガス機器を都市ガス対応に変更する。部品交換で済む場合は半日程度、機器の買い替えを伴う場合は1日程度かかる。
都市ガスになると、ガス栓につないで使う暖房器具の選択肢も広がる。立ち上がりの早さから、冬の主暖房に都市ガス用のガスファンヒーターを足す家庭もある。こちらも「都市ガス用」表記の確認は必須だ。
ステップ5:ガスの開栓・試運転
都市ガスの供給を開始し、すべてのガス機器が正常に動作するか確認する。開栓作業には立ち会いが必要で、約30分から1時間程度で完了する。
費用を回収するまでの期間はどのくらい?
プロパンガスから都市ガスに切り替えた場合、月々のガス代がどのくらい安くなり、工事費用を何年で回収できるかを計算しておくことが重要だ。
例えば、4人家族でプロパンガスの月額が約9,000円、都市ガスに変更後の月額が約5,000円になった場合、月々約4,000円、年間約48,000円の節約になる。工事費用が20万円だったとすると、約4年から5年で元が取れる計算だ。
ただし、機器の買い替えを含めた総額が40万円を超えるような場合は、回収に8年から10年以上かかることもある。自宅に長く住む予定がある場合は回収可能だが、数年以内に引っ越す予定がある場合はメリットが薄くなる。
費用回収のシミュレーションは、現在のプロパンガス代と都市ガスの見積もり額を比較して行おう。都市ガス会社に依頼すれば、使用量に基づいた料金シミュレーションを出してくれることが多い。
都市ガスへの変更が難しい場合の代替策
都市ガスの本管が通っていない、集合住宅で個人では変更できないなど、都市ガスへの切り替えが難しいケースもある。その場合は以下の代替策を検討しよう。
プロパンガス会社を変更する
プロパンガスのまま別のガス会社に変更するだけで、月1,000円から3,000円程度の節約ができるケースがある。プロパンガスは自由料金制のため、ガス会社によって従量単価に大きな差がある。エネピ(https://enepi.jp/)やガス屋の窓口(https://gasuyanomadoguchi.com/)などの比較サービスで、自分の地域の適正価格を確認してみよう。
ガスの使用量を減らす工夫をする
節水シャワーヘッドの導入、給湯温度の見直し、追い焚きの回数削減、電子レンジの活用など、日々の使い方を工夫することでガス代を抑えられる。特にお風呂まわりの節約が効果的だ。
中でも手を付けやすいのがシャワーヘッドの交換だ。水量を絞りつつ勢いを保つタイプなら、ガス代と水道代の両方に効いてくるため、工事の必要がない対策として選ばれている。
オール電化を検討する
ガスを使わずにすべてを電気で賄うオール電化という選択肢もある。エコキュートとIHクッキングヒーターの導入で、ガス代をゼロにできる。ただし初期費用(40万円から70万円程度)が高額なため、長期的なコスト比較が必要だ。

よくある質問
Q. 都市ガスへの変更工事は何日かかる?
引き込み工事自体は1日から3日程度で完了する。ただし申し込みから供給開始まで含めると約1か月から2か月かかるのが一般的だ。工事中はガスが使えない期間が発生するが、通常は半日から1日程度で済む。
Q. 賃貸でもプロパンから都市ガスに変更できる?
賃貸物件では入居者個人の判断で変更することはできない。大家さんに相談し、建物全体での切り替えを検討してもらう形になる。ただし、大家さんにとっても入居者の満足度向上につながるため、相談してみる価値はある。
Q. 都市ガスに変更した後に再びプロパンに戻すことは可能?
可能ではあるが、再びプロパンガスの設備を設置する費用がかかるため、現実的にはあまり行われない。都市ガスのほうが料金が安い傾向にあるため、一度切り替えた後にプロパンに戻すメリットはほとんどない。
Q. 変更工事の費用を分割払いにできる?
都市ガス会社によっては、引き込み工事費用の分割払いに対応している場合がある。東京ガスなどの大手では月々の分割払いプランを用意していることもあるため、一括払いが難しい場合は相談してみよう。
まとめ
プロパンガスから都市ガスへの変更にかかる費用は、総額で約11万円から50万円が目安。内訳は引き込み工事費(約7万円から15万円)、機器の交換費(約4万円から20万円)、プロパンガス会社への解約費用(0円から15万円)だ。
月々のガス代は3割から5割程度安くなるケースが多く、4人家族なら年間約48,000円の節約が見込めるため、3年から5年で工事費用を回収できる可能性がある。ただし、都市ガスの本管が近くに通っていることが大前提で、集合住宅では個人での変更が難しい。
都市ガスへの変更が難しい場合は、プロパンガス会社の変更やオール電化の検討も有効な代替策だ。まずは都市ガス会社への問い合わせと、現在のプロパンガス料金の適正価格チェックから始めてみよう。


