「電力自由化で電気代は本当に安くなるの?」「新電力に切り替えるデメリットはないの?」こうした疑問を感じている方は多いはずです。
2016年4月にスタートした電力自由化により、私たちは住んでいるエリアに関係なく好きな電力会社を自由に選べるようになりました。電力自由化から10年が経過した記事執筆時点では、新電力のシェアは約2割にまで成長し、料金プランの選択肢も大幅に広がっています。
しかし、電力自由化にはメリットだけでなくデメリットや注意すべきポイントもあります。この記事では、電力自由化のメリットとデメリットを公平に整理し、新電力に乗り換えるべきかどうかを判断するための情報をお届けします。

電力自由化のメリット6つ
メリット1:電気料金が安くなる可能性がある
電力自由化のメリットとして最も大きいのは、電気料金を安くできる可能性があることです。新電力各社は大手電力会社よりも安い料金プランを打ち出しており、使用量やライフスタイルに合ったプランを選ぶことで月々の電気代を削減できます。
特に電気の使用量が多い家庭(月300kWh以上など)ほど、大手電力会社との料金差が大きくなる傾向があります。比較サイトでシミュレーションしてみると、年間で数千円から1万円以上安くなるケースも珍しくありません。
メリット2:料金プランの選択肢が豊富
電力自由化以前は、地域の大手電力会社が提供する限られたプランからしか選べませんでした。しかし自由化後は、基本料金0円プラン、使用量に応じた段階的な割引プラン、市場連動型プラン、再生可能エネルギー100%プランなど、多種多様な料金プランが登場しています。
自分のライフスタイルに合ったプランを選べるようになったのは、電力自由化の大きなメリットです。例えば、日中は不在で夜間に電気を多く使う方は夜間割引プランを、電気使用量が少ない一人暮らしの方は基本料金0円プランを選ぶといった使い分けが可能です。
とはいえ「自分がいつ、何に電気を使っているか」があいまいなままだと選びようがありません。よく使う家電をアプリで管理できるコンセントから、生活のパターンを掴む方もいます。
メリット3:ガスやスマホとのセット割引
電力会社の中には、ガスやインターネット回線、スマートフォンとのセット契約で割引を提供しているところがあります。例えば東京ガスの電気プランではガスとのセット割引が受けられますし、ソフトバンクでんきやauでんきではスマホ料金との連携でポイント還元が得られます。
複数のサービスをまとめることで請求先を一本化でき、家計管理も楽になります。
メリット4:ポイント還元でお得に
多くの新電力が電気料金に応じたポイント還元サービスを実施しています。楽天でんきなら楽天ポイント、auでんきならPontaポイント、ENEOSでんきならVポイント(旧Tポイント)など、普段使いのポイントが毎月自動的に貯まるのは嬉しいメリットです。電気代そのものは同程度でも、ポイント還元を含めると実質的にお得になるケースがあります。
メリット5:環境に配慮した電力会社を選べる
電力自由化により、電力会社の「電源構成」を見て選べるようになりました。太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの比率が高い電力会社を選ぶことで、環境負荷の低い電気を利用できます。環境意識の高まりとともに、「どんな電気を使うか」で電力会社を選ぶ消費者も増えています。
メリット6:乗り換え手続きが簡単
電力会社の乗り換えは、新しい電力会社にWebで申し込むだけで完了します。旧電力会社への解約手続きは新しい電力会社が代行してくれるため、手間はほとんどかかりません。工事も不要で、切り替え中に電気が止まることもありません。申し込みから切り替え完了まで通常2週間〜1か月半程度です。

電力自由化のデメリット・注意点5つ
デメリット1:新電力の倒産・撤退リスク
新電力の中には経営基盤が小さい企業もあり、事業継続が困難になって撤退や倒産するリスクがあります。特に燃料費が高騰した時期には、卸電力市場からの調達コストが販売価格を上回る「逆ざや」状態になり、多くの新電力が撤退を余儀なくされました。
ただし、仮に契約中の新電力が撤退しても、すぐに電気が止まることはありません。大手電力会社が「最終保障供給」として電力を供給する仕組みがあるため、その間に別の電力会社を探せます。とはいえ、最終保障供給の料金は割高に設定されているため、早めの切り替えが必要です。
デメリット2:電気料金が高くなるケースもある
すべての人が新電力に切り替えれば安くなるわけではありません。使用量が少ない世帯(一人暮らしなど)では、大手電力会社の従量電灯プランのほうがお得な場合もあります。また、燃料費調整額の上限がないプランでは、燃料価格の高騰時に電気代が跳ね上がるリスクがあります。
市場連動型プランを選んでいる場合も、電力需給がひっ迫する真夏や厳寒期には市場価格が高騰し、想定外の高額請求になる可能性があります。
デメリット3:プラン比較が複雑で選びにくい
電力自由化で選択肢が増えた反面、料金プランの比較が複雑になりました。基本料金、従量料金の段階設定、燃料費調整額の計算方法、再エネ賦課金、ポイント還元率など、比較すべき要素が多いのがデメリットです。表面的な料金単価だけでなく、トータルコストで比較する必要があります。
デメリット4:解約時に違約金がかかる場合がある
新電力の中には、最低契約期間を設けて、期間内の解約に違約金を設定しているところがあります。金額は数千円〜1万円程度のケースが多いですが、頻繁に乗り換えたい方にとってはネックになります。契約前に解約条件や違約金の有無を必ず確認しましょう。
デメリット5:オール電化住宅は選択肢が限られる
オール電化住宅に住んでいる方は、深夜電力の割引がある専用プランが必要です。しかし新電力の中にはオール電化向けプランを提供していない会社もあり、選択肢が狭まるケースがあります。大手電力会社のオール電化プランと比較して、本当にお得かどうかを慎重に検討する必要があります。
電力自由化で新電力に乗り換える際は、以下を必ず確認しましょう。
・燃料費調整額の上限の有無
・最低契約期間と途中解約時の違約金
・市場連動型プランの価格変動リスク
・オール電化住宅の場合は夜間割引の有無

電力自由化のメリット・デメリットを踏まえた電力会社の選び方
使用量に合ったプランを選ぶ
電力会社選びで最も大切なのは、自分の電気使用量に合ったプランを選ぶことです。使用量が月300kWh以上の家庭では新電力のほうがお得になりやすく、月200kWh未満の一人暮らしでは大手電力会社の従量電灯プランのほうが安い場合もあります。まずは直近の電気使用量を確認しましょう。
検針票の合計だけでは、どの家電が使用量を押し上げているのかまでは見えません。気になる家電の実測値を測ってから判断する方もいます。
料金体系の安定性を重視する
「固定単価型」と「市場連動型」のどちらが自分に合っているかを考えましょう。料金の安定性を重視する方は固定単価型がおすすめです。電気の使用時間帯をコントロールできる方は市場連動型でメリットを得られる可能性がありますが、リスクも伴います。
セット割引やポイント還元も含めて比較する
電気料金単体だけでなく、ガスとのセット割引やポイント還元を含めたトータルコストで比較することが重要です。比較サイトを活用すれば、セット割引込みのシミュレーションが簡単にできます。
サポート体制と企業の安定性を確認する
料金の安さだけでなく、カスタマーサポートの体制や企業の経営基盤の安定性も判断材料にしましょう。大手企業が運営する新電力や、長年の実績がある新電力は比較的安心です。
電力自由化に関するよくある質問(Q&A)
Q. 電力自由化で新電力に切り替えたら停電のリスクは増える?
A. 増えません。送配電網は大手電力会社のグループ企業が管理しており、どの電力会社と契約しても停電リスクは同じです。
Q. 電力自由化のメリット・デメリットはマンション住まいでも関係ある?
A. 個別に電力会社と契約している場合は、戸建てと同様にメリット・デメリットが当てはまります。マンション全体で一括受電契約をしている場合は個別の切り替えができないことがあるため、管理会社に確認しましょう。
Q. 電力自由化で安くなった分、電気の質が落ちることはある?
A. ありません。どの電力会社と契約しても、同じ送配電網を通じて同じ品質の電気が届きます。電圧や周波数に違いはありません。
Q. 何度でも電力会社を乗り換えられる?
A. 基本的に何度でも乗り換え可能です。ただし、最低契約期間中の解約には違約金がかかるケースがあります。また、頻繁な乗り換えにはそのつど手続きの手間がかかります。

まとめ:電力自由化のメリット・デメリットを理解して最適な電力会社を見つけよう
電力自由化には、料金の節約、プランの多様化、ポイント還元、環境配慮など多くのメリットがあります。一方で、新電力の撤退リスク、料金高騰の可能性、プラン比較の複雑さなどのデメリットも存在します。
大切なのは、自分の電気使用量やライフスタイルに合った電力会社・プランを選ぶことです。メリットとデメリットの両方を理解した上で、比較サイトなどを活用してシミュレーションし、最適な1社を見つけましょう。
参考リンク:資源エネルギー庁 – 電力の小売全面自由化 / エネチェンジ – 電力自由化のデメリット / CDエナジー – 電力自由化とは


